最近、花粉症は1年中発症する可能性があると言われています。
春になるとスギやヒノキの花粉症が猛威を奮い大きなニュースになりますが、実は夏から秋にかけてもブタクサやヨモギなどが飛散し、アレルギー症状が出る人がいます。
よく鼻水が出たりくしゃみが出るけど体調は悪くなさそう、という方は花粉症を疑ってみてもいいかもしれません。
また花粉症は地域によっても発症確率が違うようです。
北海道に住んでいた方が東京にきてから突然花粉症になったという話も珍しくありません。

花粉症の治療と言うと、体内に花粉を入れないようにして、アレルギー用の薬を飲む、というのが一般的でしょう。
しかし最近は「注射」という治療方法が出てきました。
アレルギーの薬も効かないという方はぜひこの注射という方法を試してみてはいかがでしょうか。

花粉症ってそもそも何?

花粉症とは、一般的に植物の花粉(スギやヒノキ、ブタクサ、イネなど)が原因で出るくしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こす病気の事を指します。
植物の花粉はアレルゲンとも呼ばれ、このアレルゲンが体に入った時に起こる「免疫反応」が花粉症の症状になります。
このアレルゲンによる症状ですが、鼻粘膜に付着したのち、肥満細胞の抗体とくっつき、その後更にアレルゲンが付着した時にヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出されるという仕組みになっています。

マスクの女性

主なアレルギー反応ですが、上記にも記載した通りくしゃみや鼻水ですが、中には目の痒みが酷い方もいれば、喉が痛くなったり、頭痛や発熱を引き起こしたりとその症状は様々です。
風邪を引いた時に具合が悪くなりますが、その時の状況と似ていることから花粉症なのかどうか判別がつかないときもあるでしょう。
そういう時は病院へ行き血液を調査をしましょう。
花粉症の症状を抑えるにはとにかく初期段階で花粉が体内に侵入するのを防がなければなりません。
自分が花粉症なのであれば、早めの対策を心がけるようにしましょう。

以前、花粉症というと30代や40代の方の発症が多かったような印象があります。
しかし近年では老若男女誰でもかかりますよね。
これはなぜかというと、スギ花粉の飛散量が大幅に増えたという事があげられます。
花粉の量が増えたため、微量では特に感じなかった若年層もアレルギー症状を起こしやすくなったと考えられるでしょう。
また、花粉症を発症するパターンですが、遺伝的にアレルギー体質である方は発症しやすいという事が言えるでしょう。
その他で言うと、各年代で花粉症を一番発症してない年齢というのは実はお年寄りになります。
ではなぜお年寄りは花粉症になりづらいのでしょうか。
一説によると、和食が要因している、という事があるようです。
昔は今ほど様々な種類の料理があったわけではありませんし、お菓子やインスタント食品なども無かったので、食べ物が大きく関わっているという事は間違いなさそうです。
また、食事だけでなく排気ガスが影響しているという説もあります。
排気ガスに含まれる体に悪い成分と一緒にアレルゲンである花粉を吸い込むと、アレルギー反応が出やすくなると言われています。
車通りが多い所にいる方は、もしかすると遺伝的にアレルギー体質ではないけれども、花粉症を発症してしまう可能性は高まるかもしれません。
更に、アスファルトも花粉症を助長する一つの要因でしょう。
田んぼや畑が多い田舎ではアレルギー症状を起こす人が少ないと言われています。
それはなぜかというと、このアスファルトが原因だと考えられます。
通常花粉は、土の上に落ちれば自然と吸収されてしまいますので、再び空気中に飛び散るという事がありません。
しかしアスファルトは花粉を吸収しませんので、何度でも空気中に舞い上がってしまいます。
そこを車が通り、排気ガスとともに花粉を吸い込んでしまうとなると、これは花粉症になってしまうのもしょうがないかもしれません。
花粉症になる人は東京に多いというのも、こういったことが要因だと考えられます。

最近では、花粉に効く薬の開発も進み、だいぶ花粉症の症状を和らげる事ができるようになりました。
しかし、完全に治療することはできません。
いくら外からの侵入を防いだとしても、洋服には花粉がついてしまいますし、部屋の中の花粉も完全に取り除く事は不可能でしょう。
アレルギーの薬を飲むといっても副作用で眠くなるという事もありますので、運転前や学校に行っている人などは服用できないという事もあります。

そうやって対策を行い、食生活にも気をつけ、薬を飲んでいるにも関わらず花粉症の症状が一向に良くならないという方は、最近登場した「注射」を試してみてはいかがでしょうか。

注射の種類はどんなものがあるの?

注射を持つ医師

そもそも花粉症注射とはどういったものなのでしょうか。
簡単に言ってしまうと、注射するだけで花粉症の症状を劇的に改善することができる、というものになります。
花粉症によって日常生活もままならないような方には画期的な治療法と言えるでしょう。
効果もかなり即効性があると言われていて、注射を打ってから数時間後には症状がなくなります。
なお、注射と一言で言っても、その種類は様々です。
代表的な注射は全部で3種類あります。
それぞれ特徴を見ていきましょう。

まずは「ステロイド注射」です。
ステロイド注射は、ケナコルトAというステロイドを注射することで、即効性がかなり高い注射となっています。
またアレルギー反応を抑える効果もかなり高く、1回の注射でかなり症状を抑える事が可能となっています。
花粉のアレルゲン全般に効果があり、大多数の方に有効な治療法と言えるでしょう。
注射してから3時間ほどで効果が出てきます。
更に、人によりますが、ステロイド注射は1回打つだけで約1~3ヶ月と長期間効果が持続するのも特徴です。
なお、保険適用外となりますので全額負担となりますので注意してください。
治療費は病院によって違いがありますので病院に問い合わせみましょう。

次が「ヒスタミン注射」です。
ヒスタミン注射は、症状が出てしまう前に注射をしておいて体の中に抗体を作ってしまうための注射です。
アレルギーを抑える抗ヒスタミン剤という内服薬が有名ですので聞き覚えのある名前でしょう。
ヒスタミンに対する抗体を作ることでアレルギー症状を抑える治療法になります。
ステロイド注射との大きな違いは、発症する前に注射しないと効果がない、という所になります。
事前に花粉症だと認識しておいて、花粉シーズンの前から通院する必要があります。
また、ヒスタミン注射の特徴として、1回の注射では意味をなさず、複数回注射しなければならないという事があります。
アレルギー反応の状態を見ながら徐々に抗体を作りますので、約週1,2回の注射を長くても2ヶ月程度続ける必要があります。
ステロイド注射と比べると少し手間がかかります。
しかし、良い点としては副作用が軽微であるという点があります。
成分であるヒスタグロビンという物質が生物由来のため、副作用が出づらいのです。
とは言え、蕁麻疹や頭痛、発熱や眠気などの症状が出る可能性もありますが、そこまで頻度も高くありません。
医師と相談しながら、適正な量を注射してください。
その効果期間は人にもよりますが3~4ヶ月ほど症状を抑えられます。

次に「アレルゲン注射」です。
アレルゲン注射は、アレルギーの元であるアレルゲンを皮下注射して症状を改善させる注射です。
花粉症だけでなく、ハウスダストなどダニなどのアレルゲンを抑えることも可能です。
ただし、アレルゲン注射はヒスタミン注射よりも更に即効性が無く、更に注射を打つ回数もヒスタミン注射より多くなっています。
なぜ他の注射よりも時間がかかるかと言うと、アレルゲン注射はステロイド注射やヒスタミン注射の治療とは異なり、花粉症の完治を目指す治療法になるからです。
基本的に治療期間は2~3年かかります。
最初は1週間に1度注射を行い、6ヶ月後ぐらいから1ヶ月に1度の頻度で、最終的に48回程度の注射を打つ必要があります。
しかし、その効果はかなりなもので、成功率は80%です。
副作用もほぼ無く、3種類の注射の中では一番安全かつ根治できる可能性のある治療法となっています。

なお、それぞれの注射ですが、ヒスタミン注射とアレルゲン注射は保険が利用できますので費用はそんなにかかりませんが、ステロイド注射は保険適用外となっています。
病院によって値段は変わってきますので、事前に問い合わせてみてください。
そういった費用面でもどの注射にするのか考えてもいいでしょう。

減感作療法という注射を使った治療法がある

注射による花粉症の治療は、とても効果的だという事がわかりました。
しかし、そのためには多大な費用と複数回病院に通わなければいけない期間が必要になってきます。

また、子供には使用できないなどの制限も多くあります。そういった方におすすめなのが、「減感作療法」という治療法です。
減感作療法とは、アレルゲン注射と同じような原理で、アレルギー反応を引き起こすアレルゲンを少しずつ体内に入れ、徐々に抗体を増やしていきアレルゲンへの過剰な反応を減らしていく治療法になります。
花粉症だけでなく、ハウスダストや気管支ぜんそくなど、様々なアレルギー反応に有効で、かつ子供でも治療できるというのが大きな特徴です。

上記でも少し触れましたが、アレルギー反応というのは体に細菌やウイルスなどの外敵が体内に入り込み、それらから身を守るために出るものです。
花粉などは必ずしもその外敵ではないのですが、体が勘違いすることによりアレルギー症状を引き起こす場合もあります。
この勘違いというのを徐々に薄めていくのが減感作療法です。
これがうまくいくと、体がアレルギー反応を起こさない仕組みになりますので薬を飲まなくても症状が出ない、つまり完治するという事になります。

即効性はなく、また複数回病院に通わなければならないというデメリットがありますが、完治させるためにも頑張って通院しましょう。
減感作療法は皮下注射による治療と、舌下法による治療と2パターンあります。

皮下注射
皮下注射は、アレルゲン注射になりますので、複数回注射をすることで効果を得る治療法です。
治療開始時は週に2回注射します。2ヶ月後ぐらいには週1回に減らし、3ヶ月めには2週に1回、5ヶ月後には月に1回、その後は3年間月に1回注射をすることになります。
副作用は、まれに喘息や発作などが起こることがあるようですが、ほぼ無いと思って大丈夫です。
注射部分のかゆみや腫れがある場合もありますが、ほとんど1日で引くでしょう。ちなみにこちらは12歳未満でも可能な治療法です。
注射を打ち続けるのは可哀想ではありますが、根治させるためにも皮下注射による治療が最適でしょう。
舌下法
舌の下に、アレルギー物質を含むエキスを滴下し、約2分ほどそのままにしてください。
その後、そのエキスは吐き出す、または飲み込んでください。こちらは医師の指示に従いましょう。これを毎日行います。
エキスの量は数週間かけて増やしていきます。
その後ですが、医師の指示によっては、1ヶ月後からは週に1回になったり毎日を継続したりと様々です。
毎日の作業が必要となりますが、通院は最初の2週間は週一回、その後は月に1回となりますので注射のように月に複数回通わなければならないという事はありません。
副作用も注射と同じくほぼありません。
口内のかゆみや腫れが出る場合もありますが、すぐに引きます。なお、こちらは12歳以上が対象となります。

減感作療法の費用とは

費用ですが、減感作療法は保険適用ですので3割負担になります。
注射は打つタイミングにもよりますが(薬剤の量が変わるため)一番長い期間で120円前後となります。
舌下は1ヶ月分で1500円前後のものが多いようです。
長期間通院しますのでその分費用がかかりますが、毎年花粉症のために薬を買う事を考えると決して高くないのではないでしょうか。

現在、花粉症を根治させるにはこの減感作療法が一番とされています。
ステロイド注射やヒスタミン注射など即効性を求めたくなる方も多いとは思いますが、効果は数ヶ月ですし、副作用の危険も多く含んでいます。
2年ぐらい花粉症の症状を我慢すれば、その後一生花粉症にならない事を考えれば、減感作療法の方がメリットが多いのではないでしょうか。
今後ますます技術が発展し、もっと短期間で体への影響も無い劇的な治療が開発される可能性もあります。
それまでは、ご自身の体を第一に考え、ぜひ減感作療法という治療を検討してみてください。